酒害体験談

自分を呼んでいる

発表者 S・K
所属 練馬断酒会

 こんにちは、S***です。お蔭様で一年間断酒が続けられています。
 以前酒を飲んでいた時のことです。会社の営業部長はよく皆と酒を飲みに行っていました。一人で段々飲む様になり、ある朝会社で倒れ、一週間後くも膜下出血で亡くなりました。その後直ぐに取引先の部長も同じ病気で亡くなりました。皆で三度目はないよなと言っていましたが、得意先の部長が薬を医者から出たものと薬局で買ってきた薬を飲み、それが原因で亡くなりました。二ヶ月の間に身近の人が三人亡くなりました。
 自分が酒を大量に飲みだして段々おかしくなってきた時に夢を見ました。先の三人が舟に乗っていて手を振っている。挨拶をしているのか呼んでいるのか良く分らなかったが、一回目はそれで終った。暫くの間は同じ夢を見ることは無かったが、二度目を見た。何日か同じ様な夢を見たが、その間隔が短くなって行くように思えた。舟の上からだったり、花園の中だったり色々な所からであり、最後の方ではS***何をやっているんだ、早くこっちに来いと、呼んでいた様な気がした。三途の川の辺まで行っていた様に思えた。目が覚めると酒でただでさえ寝汗をかいている上に冷汗をかいていた。背筋が凍る思いをしたにもかかわらず酒が止められず、忘れる様に飲み続けていた。
 また、交差点で信号待をしていて車の流れが切れた時、無意識に交差点を渡り始めて車にぶつかりそうになったこともありました。
 成増に入院する直前のことですが、会社の帰り道、地元の駅を出て行くと占い師が居る前を通りかかった時、占い師に声を掛けられましたが何も話さずに通り過ぎました。数百メートル先で信号待をしていた時、近くの教会の牧師が通り過ぎていったのですが戻ってきて、「何か悩みごとでも有るなら話してみなさい」と声を掛けてきた。
 この頃には、酒を飲みたくても殆ど飲めなかった。話す気力も飲む気力も何もなかった。飲んでいたのは今まで飲んでいた惰性だけであった様な気がする。成増に入院が決まり、入院したことで酒を飲まなくてよいんだと思いました。
 成増での三ヶ月の入院生活が終る時期が近づくにつれ不安が出てきました。会社に戻らなくてはならないし、また酒がいつでも飲める状態になる。主治医の先生が言うように、退院後は直ぐに会社に戻らなくてクリニックに通い自助会回りに専念する様にしました。今は酒が飲んでくれと声を掛けてこなくなり、飲み会の声もなく飲み屋の呼び込みも声が掛らなくなりました。
 酒を飲まなくなってまだ一年、せっかく入った断酒会、辛い過去には戻らない。今は断酒している仲間が自分を呼んでいる。これからも頑張りますのでご指導宜しくお願い致します。